「コンニャク屋漂流記」読んだよ
![]() | コンニャク屋漂流記 (2011/07/20) 星野 博美 商品詳細を見る |
とっても良い本でした。他人の家のルーツ探しなのにすごく面白かった。
なんでかって、まず、作者と自分との共通点。




作者は祖父が亡くなる前に書きとめていた回顧録を頼りに、ルーツ探しを始めるんだけど、それがもうタイムスリップ冒険記を読んでるかのようで、すっごく面白い。
本を読み進めていくうちに、普通の家でも歴史がここまで辿れるんだなって感心するとともに、どんな時でもたくましく生き抜いてきた「コンニャク屋」の人々に、他人のわたしでも愛着がわいてくる。
恐らく、こうして自分が生きてるという事は、自分の祖先もコンニャク屋と同じように、庶民という立場で様々な歴史の荒波を越えてきて、そして時を超えて今、自分に繋がってるんだな、ってしみじみ感じて、最後には涙ぐむくらい素直に感動してしまった。
作者との、もっとも大きな共通点は、いずれ自分がひとり、残されてしまうっていう想いが、いつも心のどこかにあるという事。作者は独身で末っ子だから、両親が死に、兄弟が死に・・・やがて自分ひとりになるんだろうという。
あけぼうも恐らく自分の代で我が家は途絶えるだろうから、その気持ち、ちょっとわかる。
なんか、ただのルーツ探しだけじゃなくて、今の時代の閉塞感みたいなものも捉えてて、読みごたえも充分。
本のラストでは、東日本大震災が起きるんだけど(本当に最近の本なんです)、まるで先祖たちの存在が子孫の作者を守る温かい光のようでした。本当におじいさんの回顧録は、孫への【祝福】だったんだなと思いました。


ちなみに今はもう使われないわが家の屋号は「いずみや」ですw