「情報環世界―身体とAIの間であそぶガイドブック」読んだよ~
2020/06/10/16:46
例えば、私たち人間と、複眼を持つトンボの視覚で見えてる世界は違う。
同様に、「わたし」と「あなた」の見てる世界も「違う」。
それぞれの持つSNSのタイムラインに流れてくる情報が全然違うように。
人は「見たいものしか見ない」とはよく言われるけど、
その人の見てる世界を「環世界」という言葉で言い表してるんですよね。
なかでも本書は「情報」に焦点を当てていて、
私たちがネットなどから得た情報によって見ている(捉えている)世界について書いてあります。
ひろく自由にさまざまな情報を得られると思われたインターネットですが、
むしろ人々がそれぞれの「見たいもの」を優先して見ることによって、
または、サイト側が検索履歴から好みの情報を流してくることによって、
(フィルターバブルっていうそうです)
右寄りの人はより右寄りの情報ばかりを、
左寄りの人は左寄りの情報ばかりを見るようになっていき、
どんどん見えてる世界が極端になっていって、
意見の対立が激しくなったり、人々の分断が起きてる。
ネットはそれを助長している、
ということが欧米では問題になってきているそうです。
その現象は私たち日本の中でも起きていて、他人事じゃないですよね。
それに身体的な観点からも個人差ってありますよね。
味覚も人によってかなり違う。
聴覚だって絶対音感のある人と凡人とでは感じ取れる世界は違ってるはず。
幼い子とお年寄りでも見えてる世界は違ってる。経験値も大きいよね。
このように身体的な面でも、
わたしたちってそれぞれ少しずつ違った世界を感じている。
デジタル&フィジカル両面から、
自分が得た情報の中の「世界」で生きてる。
これを「情報環世界」という。
この本では、
個人個人が持つ「情報環世界」とは具体的にどんなものなのか?ってことや。
あふれる情報や他者の環世界との距離の取り方、向き合い方など、
どうもっていけば、社会はポジディブな方向に向かうのか・・・?
っていうことを、
いろんな立場の方が研究し、今現在考えていることなどが、
分かりやすくシンポジウムのような対話形式にして書かれてます。
何かの結論が出ているわけじゃなくて、
情報環世界という
始まったばかりの新しい学問の現在地を知る、といった内容です。
この本で印象に残ってたドミニク・チェンさんも著者の一人だったので、
興味をひかれて読んでみたんですが、
ポップな装丁でありながら、内容は深くて難しいです。
(なるべく易しく書かれてあるのですが)
でも未来の話でもあり、
精神・心の問題や哲学ともリンクするような、
めちゃくちゃ面白い内容なんですよ。
いかんせん、私の理解力があれなんで(^^;)
自分なりに「情報環世界」について簡単に説明・・・というか、
ざっくり書いてみましたけど、
あまりうまく伝えられている自信がないわー。
でも今を生きてる自分に関係することだし、非常に興味深い内容なので
この本は3回くらい繰り返し読んでもいいなって思ってる。

