「古代日本の航海術」読んだよ~
一番古い外来語=古代ポリネシア語だったかも・・・!?
いままで古代史の本を読んでいて一番モヤモヤしていたのが、
古代の船がどれくらいの技術力で出来てて、どの程度の航海が可能で、
その結果として大陸への往来の難易度というかリスクが、どれくらいだったのかっていうのが、
どうにもイマイチわからなくって。
一度、この点についてちょっと整理してみたいよな~って思っていたんです。

この本を書いてるのが航海の専門家。
これは頼もしい。そっち方面からの見解が知りたかったんです。
今まで読んだ古代史の人が書いた本って、・・・全部じゃないよ?全部じゃないんだけどさ、正直たまにこの人絶対海をなめてるよな~って思うようなこと書いてたりするんだよ・・・。
そういうこともあって、ちゃんと確かめたいって思ったわけです。
で、この本の作者がなんと書いてるかというと、
古代から黒潮に乗って、航海だったり漂流だったり理由は様々だけど、
南方からかなり人&文化が入ってきてたんではないかという話なんですよね。黒潮の流れを追えば、それは比較的容易に予想できると。
そして、その名残として、古代の記紀や地名に、
古代ポリネシア語の影響が見受けられるのではないか・・・
というのが内容の柱でした。
たとえば「アマノイワフネ」だったり、仁徳天皇が造らせた巨船「カレノ」、
能「翁」で謡われる「トウトウタラリタラリラ」、
住吉神社の神「ツツナノミコト」など、
これらは古代ポリネシア語だと、どういう意味になるのか?っていうのを出してくるんだけど、
これがですね、またつかず離れずの絶妙な線をいってたりするんですよ。
最初は、航海のことが知りたいだけで古代ポリネシアとか微妙だなあと思いながら読んでたんだけど、どんどん引き込まれてワクワクしてきます。
もともとポルトガル語だった「天ぷら」なんかも今ではすっかり日本語になっちゃってるし、古代ポリネシア語だってもしかしたら・・・って思えてきちゃいます。
もちろん、船の造りについての検討もしてます。
想像以上に大きい船が造られていたようで、びっくり。
そして、細かい海流・風の検討もしています。
また航海術についても、ポリネシアの人々の持つ知恵や、
時に中国や東南アジアなどの資料も参考にしながら、
古代日本の航海の知識はこれくらいだろう、と推測してます。
風の方角、陸の匂い、鳥の活用、繊細な海流の違い、星や雲の観察・・・などなど、
五感のすべてをつかった航海。
でも現代の目でみても、それはそれで理にかなっているらしい。
あと、海難事故の原因を航海日誌からつきとめる時のような
現代のメソッドで魏志倭人伝を読み解いていって、
邪馬台国がどこかを割り出すくだりなども非常に面白かったです。
実はこの本、なんと1992年(初版)の本なんです。
著者もすでに鬼籍に入られている。
だから古くて、初版発表後に吉野ヶ里遺跡が見つかったりするという時系列(笑)
ですけど、すごくキラキラしたネタの宝庫ってかんじで、古さを感じず面白く読ませて頂きました。
著者は謙虚に、今後の研究が進むのを待つ、といった姿勢でしたが、
その後の研究者たちはこれらのネタをちゃんと調べてくれてるのかしら。
そのあたりどうなのか気になる。
海関係はずっと気になるところで、
今回の本で、思っていたよりも航海技術って持っていたんだなあということが分かったけど、かなり古い時代の南方海洋文化の影響というところに重点がおかれていたので、次は古代の国内の船での移動とか流通について知りたいかも。
以上、「古代日本の航海術」読書感想でした♪

