「植物はヒトを操る」読んだよ~
2017/11/09/17:39
実は人間も、虫と一緒で、
植物の繁栄のために、いいように利用されてるんじゃないか・・・?
そういう視点で考えてみよう、という本になります。
いとうせいこうさんと、育種家の竹下大学さんによる対談形式。
さまざまな植物たちの戦略について、
長年仕事として植物に携わってこられた、
竹下氏の実体験なども交えつつ語られてます。
時々、専門的な話が出たりもするんですが、
そこをうまく、いとうせいこうさんが対話の中でかみ砕いてくれるので
すごくわかりやすいし、面白い。
育種家という職業のことを初めて知りました。
そして、「育種」ってどういうことをしているのかも。
もちろん花や作物の新しい品種を開発している人が
世の中にはいるであろう、
ということは、うすうす分かっていたけど
具体的には、何も知らなかった。
たとえば本の中で紹介されていた
アメリカの三大発明家の一人、育種家のルーサー・バーバンク。
ていうか、まず育種家が三大発明家の一角だったことすら知らないし。
エジソンやフォードは知ってるのにね・・・
(ちなみにこの三人、仲良かったらしいです)
彼が開発した、強くて育てやすいジャガイモの品種は
当時の食糧難を救っています。
大きくて扁平型なので、フレンチフライによく用いられ、
実は、現代でも我々は
主にマックのポテトでお世話になってるそうですよ。
「へぇ~」でしょ。
これも逆に見れば、
ジャガイモが進化の為に彼を利用した結果、大ブレイクしたともいえる。
日本の育種家では、
稲塚権次郎さんという方が紹介されていました。
東北の貧しさを救うために、彼が作った丈夫なコメは
後輩に引き継がれて、のちにコシヒカリとなります。
彼の業績はコメだけにとどまりません。
小麦ブリーダーのノーマン・ボーローグは
世界を飢餓から救った小麦を開発してノーベル賞を受賞しましたが、
実はその開発過程で、
稲塚氏が日本の小麦自給率を上げるために作った麦の品種、
「小麦農林十号」の遺伝子が
非常に重要な役割を果たしたことを語っています。
なぜこの遺伝子が海を渡ったかというと、
終戦後、アメリカは戦勝国の当然の権利として
当時の日本にあった利用できそうな品種を
全部持って行ったそうなんです。
それでまあ、上記の小麦が生まれたそうなんですが・・・
戦争に負けるって、そういうのも奪われてしまうんだな。
敗戦国の国民としては、ちょっと複雑。
育種家についてあまり一般的でないことと同様、
現代でもいちごの品種を韓国に盗まれたりとかしてるし、
ちょっと日本ってそのあたりの意識が足りないのでは。
地球上の人口増加で食糧難が予想されるというのに、
もっと重視していかなといけない分野じゃないかな。
読みながら反省しました。
なんだか、ついついわたしにとって印象深かった
育種家のことばかり感想を書いちゃいましたが、
植物について「へぇ~」がいっぱいの一冊なので、
家庭菜園やガーデニングをやってる人はもちろん
植物に興味ある人みんなに、おすすめです。

